コーヒーは食品で世界一農薬使用量の多い作物という嘘とホント

コーヒーは食品で世界一農薬使用量の多い作物という嘘とホント

コーヒーは食品で世界一農薬使用量の多い作物という嘘とホント

コーヒーは食品で世界一農薬使用量の多い作物

コーヒー豆は農薬だらけ

コーヒーは世界で最も農薬使用量の多い農作物

 

こんなこと聞いたことありませんか?

コーヒーには農薬がたっぷり?なのか。

真相に迫ります。

 

コーヒーは本当に世界で最も農薬を使う作物なのか?

どれだけ多くの人がこの話を聞いたことがあり、信じているのでしょうか?

日本人はこれを聞いたら信じちゃいそうですよね(笑)

 

結論

嘘であり本当の話

実はコーヒーは世界で最も農薬使用量の多い農作物というデータがなかなか出てこないんです(笑)

 

ただ、実際に農薬が使用されているのは事実だそう。

世界一農薬が使われているかは微妙です。

コーヒーのグレードによってはかなりの量が使われているかもしれません。

缶コーヒーやインスタントコーヒーなどに使用されるローグレードのコーヒー豆がそれに当たるかもしれません。

 

では、なぜ「コーヒーは世界で最も農薬使用量の多い農作物」と言うようなことが言われているのか?

コーヒー屋さんのマーケティングです。。。

不安を煽るとコーヒーが売れるんですねぇ(笑)

気になった人を「コーヒーの農薬はヤバいですよ!」と、不安にさせて、うちは無農薬のコーヒー豆売ってます!!となると買っちゃいますよね(笑)

 

実際にコーヒー豆は農薬だらけなのか?

これはコーヒー豆によります。

ポジショントークになりますが、スペシャルティコーヒーとされているコーヒー豆は農薬だらけではないものが多いと思います。

以前オーガニックコーヒーについて、ブログにまとめましたが、残留農薬について商社さんにお聞きしたので間違いはないと思います。

オーガニックコーヒーについてはこちら

 

信頼できる商社さんに残留農薬についてお聞きしました

返答です。

残留農薬につきまして、弊社は信頼できるエクスポーターや輸送業者から
「問題ない」といわれている商品を買い付けています。

また可能な限り栽培期間中は農薬・化学肥料不使用のものを弊社では取り扱っておりますが、ごくまれにサンプル採取しカッピングした際、フェノール臭がするものもあります。
トレース可能な商品なので確認すると、近隣のフルーツ栽培をしている農園から農薬が飛来していた、というケースも過去にありました。

諸外国で作られた農作物のため、こういった事象は100%防ぐことはできません。
どれほど信頼している業者であっても売れないものは売れないと返品もします。
そこに気付くことができるように、かつお客様には売らないように、弊社の品質管理担当は日々奔走しております。

と返答をいただきました。

信頼できる商社さんに残留農薬についてお聞きしました

 

 

コーヒーの農薬について、その他商社さんからのメールなどから引用しています

また、実際の買付の農薬検査にて、

ケニアの〇〇ついては事前の農薬検査で
高い残留値が確認されたましたので、買付を見送ることを決定いたしました。
楽しみにされていらっしゃった方におかれましては、
このような結果となり、大変申し訳ございません。

と買付できないこともあります。

 

その他にも、

ボリビアは農薬を買う資金が不足しているため、多くの農園は有機栽培が基本となります。

そもそも農薬を買うお金がない小規模な生産者も多いです。

コーヒー生産国を思い浮かべると、貧困国が多いことが分かります。



スペシャルティコーヒーは美味しいコーヒーを作ることを目標にし生産されています。農薬などを大量に使うと、土地が痩せていく恐れがあり、長期的にみると生産者にとっても美味しいコーヒー作る上ではメリットが決して大きくはありません。

SDGsもあり、各商社さんもなるべく農薬を使わないようにお願いしたり、それが可能な生産者の方と長く付き合おうとされているように感じます。

 

そして、コーヒーの農薬と同じく燻蒸されているとも言われますが実際はどうなのか?

 

コーヒー豆の燻蒸とは?

簡単に説明すると害虫駆除のバルサンみたいなものだそう。

コーヒー屋さんのブログによっては「日本に入ってくるオーガニックコーヒー以外のコーヒー豆全てにこの燻蒸処理が施されています。」と記載がありますが、これは間違いです。

神戸植物防疫所関西空港支所 貨物検査課に確認したところ、

燻蒸は必ずではないです。

実際は対象の害虫が見つかった場合、燻蒸するかしないかを輸入業者が決定します。

燻蒸するか、海外に送り返すか、破棄するかになるようです。

 

燻蒸後はコーヒー豆に燻蒸剤の成分が無いのを確認し無いそうですが、気化するため大丈夫だそう。恐らく、ある程度の時間が経つと気化するので検出されないのが分かっているのだと思います。

ちなみに下記は商社さんからの回答。

燻蒸に関しまして、基本的には輸入時の日本側の検疫の際に
虫などの確認がされなければ、燻蒸はされないというのが通常です。

生産地側で輸出前に燻蒸を行う国はございますが、
現在のラインナップ全てを確認はできておりません。

 

ちなみに、有機JAS認定の豆は燻蒸されていない、燻蒸されないから安心は間違いです。

実際は対象の害虫が見つかった場合、上記同様、燻蒸するかしないかを輸入業者が決定します。

燻蒸すれば、輸入可能。

燻蒸しない場合、現地に送り返すか、破棄するそうです。

 

コーヒー豆の輸入手続きについては独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)に記載があります。興味がある方は下記よりご覧ください。

https://www.jetro.go.jp/world/qa/04M-010605.html

 

実際のコーヒー農薬検査命令の実施について

対象食品等:インドネシア産コーヒー豆及びその加工品(簡易な加工に限る。)

検査の項目 :イソプロカルブ

経緯:検疫所におけるモニタリング検査の結果、インドネシア産コーヒー豆からイソプロカルブを検出したことから、検査命令を実施するもの。

 

イソプロカルブについて
1.農薬(殺虫剤)
2.許容一日摂取量(人が一生涯毎日摂取し続けても、健康への影響がないとされる一日当たりの摂取量)は、体重1kg当たり0.004 mg/日です。
3.現実的ではありませんが、体重 60 kg の人が、イソプロカルブが0.03 ppm残留したコーヒー豆を毎日 8 kg摂取し続けたとしても、一生涯の平均的な摂取量が許容一日摂取量を超えることはなく、健康に及ぼす影響はありません。

インドネシア産コーヒー豆の違反の内容

1.品名:コーヒー豆
  輸入者:丸紅株式会社
  輸出者:PT.INDRA BROTHERS
  届出数量及び重量:1,000 バッグ、59,689.70 kg
  検査結果:イソプロカルブ 0.03 ppm 検出(基準:0.01 ppm)
  届出先:横浜検疫所
  日本への到着年月日:令和3年9月12日
  違反確定日:令和3年9月30日
  貨物の措置状況:全量保管中

2.品名:コーヒー豆
  輸入者:三井物産株式会社
  輸出者:PT. BERINDO JAYA
  届出数量及び重量:318 バッグ、19,017.00 kg
  検査結果:イソプロカルブ 0.02 ppm 検出(基準:0.01 ppm)
  届出先:横浜検疫所
  日本への到着年月日:令和3年9月25日
  違反確定日:令和3年11月4日
  貨物の措置状況:全量保管中
参考:インドネシア産コーヒー豆の輸入実績(令和2年4月1日から令和3年11月3日まで:速報値)

年度 届出件数 届出重量(トン) 検査件数* 違反件数
令和2年 670 23,875 36 0
令和3年 396 15,139 25  2

※イソプロカルブに係る検査件数

※厚生労働省 報道発表資料より参照

豆の詳細は分かりませんが商社さんを見る限り恐らくローグレードのコーヒー豆ではないかと思います。

勝手な推測です。

インスタントコーヒーや大量生産されるコーヒーやドリップコーヒーなどのコーヒー豆かもしれません。

 

残留農薬の基準について

日本では長い間「ネガティブリスト」制度が採用されており、特定の農薬にのみ残留基準が設けられていました。この制度では、対象外の農薬には基準値がありませんでした。しかし、2006年5月29日から「ポジティブリスト制度」が導入され、一般的に使用されない農薬については一律で0.01ppmという厳しい基準が設けられました。

例えば、リンゴの生産では一般的に使用される農薬Aには0.05ppmの基準が設けられています。しかし、コーヒー豆の生産では通常使用されないため、同じ農薬Aでも0.01ppmという厳しい基準が適用されます。この0.01ppmは非常に低い濃度で、100トンの作物に1グラムの農薬が含まれることを示します。

基準値は原則としてADI(一日摂取許容量)に基づいて設定されており、これは動物実験に基づいて、人体が一日に摂取しても健康被害を発生しない量を定めています。

 

実際にコーヒーの農薬についてはかなり厳しい基準になっているようです。

2023年の基準ではEUよりも厳しい基準になっています。

実質的に世界一残留農薬に厳しい国は日本と言っても過言ではないのかもしれません。

安全安心 残留農薬基準値リスト

※全日本コーヒー協会より参照

 

確認ですが、これは生豆でのお話です。

焙煎豆ではどうなるのでしょうか。

 

コーヒー豆の焙煎工程における農薬の挙動

2012 年のデータですが、研究されており結果が出ています。

結論

焙煎工程はコーヒー豆内の農薬残留を大幅に減少させる。
この研究は、焙煎されたコーヒー豆の消費における農薬残留の安全性についての理解を深めるものである。

※コーヒー豆の焙煎工程における農薬の挙動より参照

 

もう少し噛み砕きます。

コーヒー豆の焙煎中の農薬の変化

研究の目的

日本では、コーヒー豆に残っている農薬の量が厳しく管理されています。でも、その基準は生のコーヒー豆に対して設定されていて、焙煎した後の豆には基準がありません。そこで、焙煎中に農薬がどう変わるのかを調べた研究があります。

研究の方法

この研究では、コーヒー豆に5種類の農薬(γ-BHC、クロルデン、ヘプタクロル、ピペロニルブトキシド、アトラジン)を加え、それを250℃で約3分半(210秒)焙煎しました。そして、焙煎前後の農薬の量を測定しました。


結果

γ-BHC:焙煎後には全く検出されませんでした。
クロルデン:90%以上が減少し、わずかに残留しました。
ヘプタクロル:ほとんどが消え、ほんの少しだけ残留しました。
ピペロニルブトキシド:クロルデンと同じように大幅に減少しました。
アトラジン:熱に弱いため、完全に消えました。

結論

焙煎することで、コーヒー豆に残っている農薬の量は大幅に減少することが分かっています。これは、僕たちが安心して美味しいコーヒーを楽しめるということを意味しています。


まとめ

今回の研究は、コーヒー豆の焙煎中に農薬がどのように変わるかを明らかにしました。焙煎によって農薬の量が大幅に減少するので、コーヒーの安全性について心配する必要はありません。これからも安心してコーヒーを楽しみましょう! 

 

どうでしょう?分かりやすくまとまってますか?

 

まとめ

コーヒーは食品で世界一農薬使用量の多い作物、と言う一面も一部あるかもしれませんが、

スペシャルティコーヒーなどの生産者さんがこだわって生産されているコーヒー豆は世界一農薬使用量の多い作物では無いと思います。

オーガニックコーヒーでなくても農薬が使用されていないコーヒー豆は多いですし、必要最低限の使用や、栽培期間中不使用などの表記があるコーヒー豆もあります。

事実、コーヒーは食品で世界一農薬使用量の多い作物と言って不安を煽るコーヒー屋さんやそのブログなどもありますが、一度立ち止まってそれって本当?と、少し疑ってみてください。

不安を煽る人よりも不安を安心に変えてくれうようなコーヒー屋さんに出会えると良いですね。

いずれにせよ美味しいコーヒーを安心して飲んでいただけると嬉しいです!

 

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